a001
僕は配管記者としての若い田中君の立場には同情するが、田中君が種本に使った豊中市 水漏れ 高槻市 トイレつまり、田中君が真新しい本を持ってきて、手にとろうともしない僕に頁を繰つて、ここを読んで下さいと勢こみ指でちょんちょんとさしていた「作家論」を手を触れずに持っている。僕には中途から田中君のたくらみがわかっていたので、頑強に手にとらず、田中君が充分面白い指紋のつけかたをしてくれているのを見ていたのである。田中君には僕のその腹がわからなかったのであろう。田中君が「作家論」を僕にくれていったことの証人は、僕の嫁のほかにもあることは田中君が知っている。僕はなおこれ以上の面白いことを書いて、田中君及び奈良配管の名誉を傷けようとも思わない。田中君は田中君の記事によってあちこちの人に儲けさせた人である。但し、僕はそういうただ儲けさせて貰った人達の記事について何か書けといわれても、田中君は根が正直な人だから、田中君に頼むがよかろうと返事をしているのである。最後の会話「君、金はいらないかねえ、」ぶらつと僕の部屋に顔をだした作業員はそう言ってにやにやしながら突ったっていた。「口止料みたいな金は俺はいらないや、」「水漏れんなら水漏れで俺はいいよ、」やるな、と思った僕はそう吐きだした。
トップページへ